「暗愁」 あとがき
暗愁を読んでくださってありがとうございます。
まだ読んでいない方はこちらをどうぞ。
こんばんは、なずなです。
お久しぶりです。
本当は秋に上げようと思っていたのに気がついたら冬になっていました。
今回も長く、分かりにくい台本になりました。
書くことがたくさんあって悩むのですが、順々に書いていきます。
➀書いた動機?
落鳥・融解と続くお話を書こうと思ったことがまず一つです。
タイトルが漢字二文字で幸薄い女と裏社会の男が出てくる共通点はあるものの、話自体はそれぞれ単発。
シリーズものと言えるのかは分かりませんが、私の中では“漢字二文字シリーズ”という大変ダサい名前で呼んでいます。
そして、“同じ傷を持った者同士は互いを決して癒せない。”
そんな話が書きたくて書きました。
慰め合えるけど、傷を癒すことも忘れさせるのも難しいとは個人的には思っていて。
もちろん、そうじゃないこともあるとは思うのですが私の中ではこれがしっくり来ています。書けてるかどうかは別にして。
そんなこんなで書き始めました。
➁人物について
・女
15年前に母親を男に殺された女。
頑なに母親から愛されていたと言っていますが、実はそうじゃありませんでした。
暴言を吐かれている夢をみているシーンでクマのぬいぐるみがないのも、クスリやる前の話しだからです。かなり分かりにくいですね。
夢の中で大好きよという母の声がしないのも、ふわふわの手(ぬいぐるみ)に撫でられているのも母親からそんなことはやられた覚えがないという表現にしかたかったのですが、できませんでした。難しい。
女はその悲しみや苦しみはずっと胸の真ん中にあったけれど、見えてないふりをして生きてきたんだろうなと。
そうしないと、孤独な環境で生きていけなかったのでしょう。
だからこそ、男の目にうつるそういった感情を見ることができなかったんじゃないかと思います。何にも見ようとしていないから真っ黒にしか見えない。忘れることがなかったのも、自分の目のなかにあるものと同じなんだから忘れるはずもないです。毎日、見ているんだから。
何もかもから目を背けて何とか生きてきた女ですが、最終的にはとんでもないものを背負ってしまいました。
今後、どうするのか。それは読んだ方それぞれで変わると思うのですが、彼女は逃げ時にずっと背負っていくと思います。
・男
女の母親を殺した男。
両親がどちらともクスリに溺れ、最終的に男が殺してしまいました。
男は恐らく、彼女があの時の娘であると出会いの途中から気付いています。どうしてここにいるんだ、どうして自分のことを探しているんだと全く表には出していませんが、さぞかし驚いたことでしょう。しかも、彼女がどんな目に遭っていたのか知っているので、母親に愛されているとは言い出すとも思っていなかったと思うのです。女の生きる術がそう信じることと勘づいてからは何も言わなくなりました。
胡散臭い笑みを浮かべてよく喋る男ではありますが、実際はあまり喋る方でもなく、心の中は常に冷え切っているんじゃないかと。だからこそ、クスリを売り続けることができていたのかな。
でも、女の傍は男もそれなりに居心地がよく、だからこそ離れることも女を力任せに町から追い出すこともしなかった。
男の場合はそれが決して良いことではないと分かっていたとは思います。
結果、女に自分の死を背負わせてしまったと。
でも、男はもう本当に死に際あたりでは、女に背負わせてごめんなさいというよりは、やっと終わるんだということしか頭にないとは思います。
・二人とも
どちらとも子供のままだというイメージで書いていました。
本当に大事なところだけ、子供のまま。
二人とも親を恨んでいるのですが、それよりも愛情が与えられず、それを求めてしまう悲しみや苦しみが強くて。
同じ傷があって、同じ苦しみを味わっている二人。
その二人が幸せになる方法って何なんでしょうね。
題名に関してなのですが、「暗愁」で“あんしゅう”と読みます。
意味は心を暗くする悲しい物思いなどなど。
二人の中にはずっとあったんじゃないかなと思って。
あと、本来は秋に上げる予定だったので秋が入っている愁を使いたかったというのもあります。もう冬だけど。
ここまで読んでくださってありがとうございます!
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以上、なずなでした。
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