「君、陽だまり、遠い夢」あとがき

「君、陽だまり、遠い夢」を読んでくださってありがとうございます。 

まだ読まれていない下記のリンクからどうぞ。  

また、この作品は「君、朝顔、夏の夢」と関係がある台本です。

ここから先は、既に「君、朝顔、夏の夢」を読んでいるという前提で書かさせていただきます。

作中とは繋がりがないのですが、あとがきでは読んでいないと分からないことも多いかもしれません。

もしも、読んでみたいなって方がいらっしゃいましたらこちらも下のリンクからどうぞ。



秋よりも眩しく、夏よりも優しく、冬よりもあたたかい陽光の中で紙飛行機を飛ばすお話でした。


➀書いたきっかけ(「君、朝顔、夏の夢」との繋がり)

②人物について 

➂まとめ




➀書いたきっかけ(「君、朝顔、夏の夢」との繋がり)



台本ページにも書きましたが、「君、朝顔、夏の夢」という別の台本と少し繋がりがあります。

かなり題名を寄せて作ったので、台本をご存知の方は題名を見た時点で“あれ?”ってなった方もいらっしゃるかもしれません。

「君、朝顔、夏の夢」には既にサイドストーリーを一つ掲載しています。

それとは別にもう一つ、書こうと思って途中まで書いたサイドストーリーがあるのです。

爽子が成長し、社会に出て数年が経った頃、駅で過呼吸を起こしている少女に声をかけて助けます。

やがて落ち着いた少女と爽子は話すうちに、大切な存在を失っているという共通点に気付きます。

そして、大切なあの子の話をするなかで二人は……。

みたいな、お話です。

この見知らぬ少女に関して、せっかくだから台本にしたいなって随分と前にはなるのですが、考えていました。

作中のやりとりが似ていたり、どことなく対になってる(人物の所で詳しく書きます)のは、そのためです。

出来はともかく、やっと書き終えることができて満足です。






②人物について


*奈津美

小さな世界で、大きな大きな夢を大切に抱えている女の子でした。

奈津美は人物像を考えていた時に、素直、良い子、お人よし、夢見がちでいい意味でも悪い意味でも子供だというワードが最初に出てきました。

どことなく優海と似ている人物になりました。特にお人好しなところとか。


彼女はノートに書いてあった夢を見られて笑われたから、一緒にいると苦しいって学校の友人のことを話しています。

悪い子たちじゃないって言っているのですが、これは彼女視点の話です。

本当は少し意地悪をされてます。

例えば、4人でいるのに奈津美を除いた3人にしか分からない話をしたり、「部活終ったあと、〇〇行こー?」みたいな3人での約束事を奈津美の前でしたり。

嫌がることをして少し強めにやめてほしいって言ったら、なに怒ってんのー?つまんなーみたいな感じで言われたり。

ノートもその延長線上だったのです。

この辺りのことを作中で出すかどうかは悩みどころだったのですが、奈津美は“悪い子じゃないんだよ。おかしいのはわたしだよ”って思ってる時点で、彼女の口からこれを話すことは無理ですし、そういった場面を七海が見ることも不自然だしで、やめました。


こういった子ですので、ご両親が心配するのも頷けます。

親が子を叩いてしまうことってあると思うんです。

虐待とかじゃなくて、子のことを思っての怒りなどから。

それが良いこと、悪いことというのは置いといて、あると思います。

奈津美の両親は本当に心配してて、そこからの怒りで手が出てしまったのでしょう。

叩いてしまったことはかなり後悔しているはずです。

お父さんの妹、奈津美の叔母さんが死んだ理由を奈津美は知りませんが、両親は知っています。

叔母さんは20歳で都会に出て、最初は自身の夢を叶えるためにバイトを頑張っていました。友人もできましたが、全員が全員優しい人ではありません。

中にはお人好しな叔母さんを都合の良いように使う人もいました。

やがて恋人ができたのですが、その恋人がろくでもなくて、お金は搾り取られ、最終的には自身の体を売ってお金を得ていましたが、その恋人にも捨てられました。

もう一度頑張ってみようと思いますが、こんな自分になにができるのだろうかと考えてしまいます。家に連絡を取ろうともしましたが、こんな娘なんていないほうがいいのではないだろうかと考えてしまいます。

心も体もボロボロだった叔母さんは死を選んでしまったのです。

奈津美は叔母さんとどことなく人柄が似ていたのです。

だからこそ、怖かったでしょうね。

いつかこの子も、ここから出ていってしまうんじゃないかって。

娘の話を、夢を聞いてあげたい。

でも、それよりも苦しい道に進んでほしくない。

これからきっと両親はたくさん話し合うでしょう。

娘の幸せを願って。


こんな感じでお人好しで、素直で優しい奈津美なのですが、最初にも書いた通り、いい意味でも、悪い意味でも子供です。

だからこそ、彼女は七海の手を引いて一緒にいようとしました。

彼女の思う夢を七海に見せようと、彼女の思う幸せを七海に感じさせてあげたいと思ってしまいました。

子供だからこそ、七海に対してそれは夢じゃないよ、幸せそうに見えないもんって言えたのでしょう。

最後、奈津美は謝っていますが、これらが良いことだったのか、悪いことだったのかは分かりません。

彼女は今後もあの時、こうしていれば~、こうしなければ~って何度も何度も問答を繰り返すことになると思います。

答えなんてない問答でずっと自分を責めるのでしょう。

七海と同じく自分のことを許せなくなってしまうのでしょう。

二人のことは二人しか知りません。

だから、誰かが彼女に教えてあげることはできないのでしょうが、彼女の後悔しているその行動が、七海にとっては陽だまりのようなあたたかさがあったんだと思います。

彼女が、自分の夢を笑うことなく、一緒にノートを見てくれた七海にあたたかさを感じていたのと一緒で。


*七海

小さな世界で、誰にも許されない場所で生きてきた女の子です。

爽子とどこか似た人物になっています。

大人びている、しっかりしている、でも暗い孤独を抱えている、そんな子。

でも、この暗い孤独を奈津美は照らしたはずです。

お父さんが死んでしまってから、彼女はずっと苦しかったことでしょう。

自分を責めてしまうのは当たりまえです。

でも、ここで彼女の母親が彼女のことを許し、ちゃんと見て、支え合って生きることができていたらどうなっていたのでしょうか。

自分の家族が家族を殺してしまった。

それを許せるかどうか。

関係性や築いてきた絆やいろんなことにも左右されますし、同じ境遇だったとしても人にもよると思います。

家族なんだから許してあげるべきだ。

子供の過ちなんだから許して、愛するべきだ。

そんな考えもあるでしょうし、私も何とか許そうとするかもしれません。

でも、許せない人だっているはずです。

七海の母は最終的には娘の命を奪い、自身も命を絶ちました。

これは正しいとは言いたくありません。ですが、そうするほかなかったのでしょう。

誰かがこの親子に早い段階で手を差し伸べてくれたら、何か変わっていたのかもしれません。

七海の母が、七海自身が外に助けを求めることなんてできなかったでしょうから。

でも、難しいですね。

家族のことは家族にしか見えないから。


七海はもう母の愛する父を殺してしまった殺人犯としてずっと生きてきました。

作中には出てきませんが、小学校も中学校も休みがちな子でした。

もう七海は母が許してくれない世界にしかいれなかったのです。

少しでも広い世界に出てはいけない。

楽しいことも、素敵なことも、何もかもダメ。

私はお父さんを殺してしまったんだから。

お母さんだって私をずっと恨んでるんだから。

ここではない場所で楽しい思いをしたとしても、七海はきっと自分を責めてもっと苦しくなっちゃうんじゃないかな。

本当は楽しく生きたい。

でもそれはできないと彼女は分かっていたはずです。

だからこそ、死ぬことを夢だと、救いだと思うほかなかったのでしょう。


そんな彼女の手を、広い世界を夢見る奈津美は一緒にと手を引きます。

でも、彼女は手を取らずに、綺麗な夢ばかり見せてくる奈津美に声を荒げます。

この辺りは朝顔と対照的だなって思います。

広い素敵な世界がある。その世界へ大好きな友人と一緒に行きたい。

彼女だってそう思っていたはずです。

でも、無理なんです。

だから、そういった夢を、世界を見せてきて、手を引いてくれる存在がいてくれることを苦しいと感じてしまうんじゃないかと。

苦しい世界から逃げたかったのに、その手を取ってもらえなかった優海とは違い、七海は手を引かれたことを苦しいと思ってしまう。

あまり語彙がなくて、上手に伝えられないのですが、どうしても作品内に入れたいテーマでした。


小さな暗い世界で閉じこもって生きてきた七海ですが、その暗い世界を奈津美は照らしたのでしょう。

父親と似ている自分を見て苦しむ母親しかいない世界で生きてきた彼女。

そんな自分を奈津美は近くでじっと見て、美人だと綺麗だと言いました。

本当に、本当の本当に泣いてしまいたいぐらいに嬉しかったと思います。

奈津美は七海の幸せを探していましたが、それが自分の存在であることを奈津美は知りません。

お互いにそう思っているのに、知りません。


奈津美が七海の世界を照らしたからこそ、生きようとした。

だからこそ、苦しかったかもしれない。

でも、彼女は最期の最期に優しいあたたかさを知ることができました。

それは、誰が何と言おうと幸せだと思います。






➂まとめ


これがもし、優海が奈津美と、爽子が七海と出会っていたらどうなっていたのでしょう。

優海が逃げようと手を出したら奈津美はその手を取ったかもしれません。

七海の夢と名付けた命の終わりを、爽子は受け止めたかもしれません。

でも、そもそもこういったところまで行きつかないでしょうし、そもそも話すこともないと思います。

七海は奈津美が紙飛行機を投げるところ見ています。

彼女には夢を持って叶いますようにって願いながら紙飛行機を投げた奈津美が眩しくみえたのかもしれません。

だから、心が惹かれたのかもしれません。


いつか彼女たちがまた出会えたらいいな。

陽だまりの中でたくさんお話してほしいな。

奈津美も七海も、優海も爽子も。


台本を書いたので、サイドストーリーも書き直したいな。


最近はもう寒いですね。

朝早く起きて、身支度して、6時ぐらいにお散歩に出かけているのですが寒いです。

季節が変わったことを感じると楽しいですね。


なんて書いていたのですが、今(10月17日)は何だか暑いです。秋らしさも夏らしさもあります。

お日様もでているし、このお話を上げるのに良い日ですね。


 ここまで読んでくださってありがとうございました! 感想などXのDMやメール、もしくはWaveboxなどでいただけますと大変励みになります!


 

 X:https://x.com/nazunapiyopiyo

 Wavebox:https://wavebox.me/wave/bb62gnxqrc810j58/                













薺箱

ー薺箱ー なずなが創作した 物語が詰め込まれた箱

0コメント

  • 1000 / 1000