「金木犀の下で」あとがき

「金木犀の下で」読んでくださってありがとうございます。

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金木犀の下でおしゃべりしつつ、金木犀の下で死へと手招きする話でした。


まだまだ暑い日もありますが、秋だなあと感じる日も多くなってきましたね。

この台本を上げたのは15日なのですが、書き始めたのは14日です。

Xでも話したのですが、朝散歩していたら金木犀の香りがしていて、

あ!!今年こそ金木犀の台本を書きたかったんだ!!

って思い出しました。

人によるとは思うのですが、私は夏の話は夏らしさがあるうちに、春は春の内に、みたいに実際の季節と同じ台本しか書けません。書こうと思えば書けるのでしょうが、書く気があまり起きません。

なので、慌てて書き上げました。


こういう咄嗟的に書こう!!ってなったときの台本は闇鍋のようになります。

いろんな書きたいなっていう要素を少しずつ煮詰めるみたいな。

今回で言えば、「せんせぇ」って呼んでくる女の子を出す。

一人称が「あたし」の女の子を出す。

植物の下に死体が埋まっている話を書く、みたいな。

他にも色々あるのですが、それを煮詰めたものが今回の台本です。


人物設定やプロットから考え始めて、一日で書き終わったのは今回が初めてなのですが、乱文になっているんじゃないかなって心配にはなっています。

でも、楽しかったです。なので深く考えることはやめました。

下調べとかせず、すごい考えることもなく、書きたいものを書き殴るのもいいですね。




*二人の過去について


話しには蛇足だなと感じてあまり出せなかったので、ここで当時の二人について書いておきます。

少女は父親から虐待されており、学校ではいじめられていました。

誰からも助けてもらえず、孤独だったけど、幸太郎だけは一緒に遊んでくれました。

それが少女にとっては救いだったのです。

作中でも出てきましたが、少女はいろんなことを隠したいあまり、上手に人とコミュニケーションが取れていませんでした。

当時、幸太郎よりも背が高かった少女は、幸太郎をちびやら何やらと色々からかってしまい、少女はそれを直したかったのですが、なかなかできませんでした。

せめて、幸太郎が誰かといる時は話しかけないようにしていたのです。

幸太郎が自分と遊んでいるのを誰にもみられたくないと思っているのは分かっていたから。


一方の幸太郎はというと、少女のことを持ち前の優しさと正義感から見捨てることはできずに一緒に遊びます。でも、彼の優しさや正義感は上辺だけです。

本当は少女のことを周りと同じく避けたかったのですが、“良い子の自分はそんなことできない。こんなやつとも遊ぶ僕はなんて良い子なんだろう”という何とも言えない気持ちから遊んでいるだけだったのです。


ある日、少女は父親に些細なことで殴られました。機嫌の悪かった父親は少女をいつもより長く殴り続けました。

さすがに辛くなった少女は、金木犀のにおいが強く薫るその日に、友人といる幸太郎に話しかけます。本当は助けてほしいと言えれば良かったのに、口から出てくるのはいつも通り、幸太郎をからかうような言葉ばかり。

幸太郎はそんな少女に「くさいからあっちに行けよ!!」と言ってしまったのです。

ショックを受けた少女でしたが、それさえも隠したくてへらへらと笑って、その場から去ります。


金木犀の木の下で、少女はふと金木犀の花をたくさん食べたらいい香りになれるのかなと考えます。

少女はたくさん食べました。

それでも良い香りにはなりません。

悲しくなった少女はそのまま、家へと帰り首をつってしまったのでした。

少女の死体を見つけた両親は自分たちが疑われるのではと考え、死体をどこかに隠そうとします。

そこで、人通りの少ない金木犀の木の下に埋めたのでした。

匂いがきついから、咲いている間は腐臭がしたとしても気づかれないだろうと。


そんなこんなで少女は地面に埋められ、幽霊になり、幸太郎の前に姿を現したのでした。






・人物について


二人を書くうえで気をつけていたのは、“気持ち悪さ”です。


*少女に関して

 幸太郎の同級生の女の子であり、金木犀の下に埋められている子であり、今金木犀の下で話している子でもある少女。


幸太郎があまりにも変わっておらず、たくさん笑ってしまいます。

彼は助けたいと思っている自分に酔っているだけで実際には助けない人間だと、少女は知ってます。

なおかつ、自分の苦しみには気づかなかったのに、今自分と同じように苦しんでいる教え子を助けたいという幸太郎のことを嘲笑っています。

でも、それでも少女は幸太郎と一緒にいたいのです。


少女は幸太郎に執着しています。彼がどんな人間でも少女にとっては救いだったから。

だから、はやくはやく死んでほしいと願っています。

地面の下で手招きしています。

後でも書きますが、彼が急に死にたくなったのは少女が原因なのかもしれません。


少女のセリフは「せんせぇ」と「先生」の二つが出てきます。

「せんせぇ」は幸太郎のことを指しています。


少女:「せんせぇらしいことを言うんだね」

 男:「先生だからね」 

 少女:「そうだね、せんせぇだものね」


こんな会話が作中に出てきますが、少女は“こうたろうくんらしい良い子ぶっていることを言うのね”ぐらいに思っていたのかもしれません。

「せんせぇ」をどう発音するかは、演者さんにお任せします。

いろんな方の「せんせぇ」が聞けるのが楽しみです。



*男(清水幸太郎)

彼の人物設定のページに大きく書かれているのは、「上っ面の優しさと正義感」です。

男は自分が教え子のことを助けたいのに助けられなくて、それで疲れてしまって、死にたくなっていると思っていますが、そんな訳ありません。

だって、彼はそんな人間じゃないんだから。

助けられなかったとしても、幸太郎は助けようとしていた自分ということだけで満足するので、精神的に辛くなることなんてありません。


彼が死にたくなっているのは少女が死へと手招きしているからなのでしょう。

多分、彼は割とすぐ少女の元にいくことになると思います。


少女は幸太郎のことを忘れずにずっと執着しているのに、幸太郎はあまり覚えていません。

少女があの子だと気づかずに話続けています。

気付かずに、少女の友人を優しい子だねと褒めます。

助けたいとか言いつつ、少女と別れて普通に帰ろうとします。

とてもとても滑稽です。


でも、人間ってそんなもののような気もします。


この上っ面の優しさと正義感、そして滑稽さ、人間らしさをどう表現するのか、お聴きできるのが楽しみです。




後から調べたら、金木犀の花言葉って『初恋』やら『真実』とか『真実の愛』とかありますが、『隠世』なんてものもあるそうで。

ある意味、二人にぴったりなような気もしますね。


あと、これはどうでもいいことなのですが、いい匂いのお花食べたらお花の匂いになるのかなっていうのは、小学1年生のときの私も考えて、やったことがあります。

何なら花だけではなく、よく分からない木の実とか下校中に食べていました。

そのせいか、海外で生野菜食べちゃって、みんながお腹壊して大変なことになっても一人だけ元気だったりと、お腹はかなり丈夫に育ちました。


書きたいことがまだあるような気もするのですが、長くなりましたのでここで終わりにします


最近はマダミスに取り掛かっていて、台本を上げることができていません。

マダミスももうそろそろ終わりますので、そうしたらまた何か書けたらなあと思っています。


ここまで読んでくださってありがとうございました!

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 以上、なずなでした。


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